2024年7月11日(木)
今日はイギリス料理の中でもクソまずいと噂のうなぎのゼリー寄せ(Jellied Eels )を食べに行ってきました。
こちらはイギリスの中でも賛否がわかれる料理で、今度食べに行くんだ!と同僚のイギリス人に話したところ「やめときなよ。なんで食べに行くの?」と聞かれました。「イングランドの伝統料理食べたくて…」と言ったら「それはイングリッシュじゃないよ。イーストエンドのコックニーの人たちの料理だから」とも言ってました。
コックニーとは東ロンドン(イーストエンド)の労働者階級の人たちのことで、彼らの独特の話し方であるコックニーアクセントも有名です。
おすすめレストラン
それではどこで食べようかと、Jellied Eelsが食べられるレストランを探していたところ、良さそうなところが3つほど見つかりました。
- M.Manze
- F.Cooke
- G Kelly
このあたりがYelpというアプリとGoogleでの評価が高かったです。正直この3つであればどこでもいいかなと思ったのですが、G Kellyが1番家から近く、しかもホームページを見たところ1939年設立の老舗でもあったので、ここに行くことにしました。
https://www.gkelly.london/
イーストエンド散策
イーストエンドとは、ロンドンの東部、かつテムズ側より北の地域を指すそうです。せっかくなので散策してみます。というか、一応少しでも美味しくいただくために飢えておこうと朝昼ごはんを抜いたのに思ったよりお腹が空かなくて焦ったので、ちょっと運動することにしただけです。ストラットフォードショッピングセンターで店を見つつ、お店まで1時間ほど歩くことにしました
ストラットフォード駅といえば、スタンステッド空港までの格安のバスが出ていたり、スタンステッドエクスプレスの停車駅だったりでだいぶお世話になっているのですが、昼間に行くのは初めてでした。ザ・外国のショッピングモールといった感じで、色々なお店があってけっこう見てて楽しかったです。
個人的には通路にでっかいチェスと卓球台があったのがよかったです。さすがイギリス。諸説ありますが卓球はイギリス発祥のスポーツらしいですね。
そんなこんなでオリンピックパークを横切り、オリンピックスタジアムを横目に視線の中を一生懸命歩くこと1時間弱、ようやく小腹が空いてきました。
そんなこんなで思ったより時間がかかり、16時ごろ到着です。木曜日は18時までの営業だそうなのでちょっとギリギリになりましたが間に合いました。
メニューにはうなぎのゼリー寄せの他に、パイ&マッシュもありました。レストランを調べている時に気づいたのですが、うなぎのゼリー寄せがあるお店にはたいていパイ&マッシュもあります。この2つは両方ともイーストエンドの労働者階級者の伝統料理で、たいていセットになっているようです。
せっかくなので食べることにしましたが、多分お腹いっぱいになりそうだったのでマッシュ(ポテト)はやめてうなぎとパイだけにしておきました。うなぎパイです。
牛肉のミンスパイ(2.6ポンド)➕パセリソース、うなぎのゼリー寄せ5ピース(4.8ポンド)とレモネード(値段不明)であわせて9.8ポンドでした。2000円くらいですね。レシートを渡されなかったので席料があるのか、パセリソースは別料金なのかは不明です笑
そしてこれは注文してから気づいたのですが、メニューにうなぎのゼリー寄せ(2ピース)がありました…不覚です。確実にこれにしておくべきでした。ホームページでは見つけられませんでしたが、ちょっと食べてみたい人が多い割にみんなギブアップして残すから2ピースのメニューを作ったのかもしれないな…とちょっと怖くなってきました。
気になるお味は?
簡潔に言うと生臭いです。あと塩辛い。一口食べて、空腹にしてきた意味がなかったと悟りました。
私は塩鮭の塩を落とさずに食べたり、お茶漬けにお茶をかけずに食べるような塩分過多野郎なのですが、この塩辛さはちょっと耐え難かったです。海の水を間違って飲んでしまった時に近いです。
ゼリーの部分はいうてただの海の味なのでまあ問題ないと言えなくもないですが、うなぎの部分は別です。
ひたすら生臭い。生の青魚のような、シメサバ系の味です。一生懸命食べてみましたが2個が限界です。お店の人も2個のメニューを新たに作るわけです。
あとはうなぎをぶつ切りにした形状だからか、中心の骨が思ったより大きく、うなぎってこんなに骨ちゃんとあるんだ、と新たな知見を得ました。噛めない硬さではなかったので食べるべきかなとも思いましたが、思ったより鋭利で口の中を順調に傷つけそうだったのでやめておきました。現代人は脆弱なのです。
唐突に、近くの席にいた常連っぽい雰囲気のおじさんが急にやってきて「チリのソースをかけるんだよ」と言い残して去っていきます。
言われた通りかけてみると、たしかに臭みがだいぶ消えました。お酢が入っているようです。しかしだいぶマシになったとは言え一向にフォークがすすまない味であることに変わりはありません。しんどいです。フォークを握ったまま一向に料理が減らない、小学校で給食が食べられず居残りさせられる子供のように、時間だけが過ぎていきます。しかし私はもう立派な三十路女性、子供ではありません。
「すみません持ち帰りできますか?」
諦めてそうお願いすることだってできるのでした。
「Take away(イギリスではテイクアウトのことをそう呼びます)ね!もちろんよ!」
注文の時も感じがよく、持ち帰りも嫌な顔一つせず笑顔でこたえてくれる店員さんに、罪悪感がつのります。心の中でテムズ側の底みてえな味だなと思っていたことを反省しました。でもそんな感じの味でした。
パイの方も完食はできましたが、残念ながら口に合いませんでした。牛肉が獣臭く、パセリのソースは形容し難いのですが、草っぽい味がします。パセリというか何かの草の味で…いやパセリなんかな何かもうわかんなくなってきました。
最初にソースかけるか聞かれた時に、英語の発音がパセリというかパスリーって感じで聞き取れずになんとなくお願いしますって言った結果です。甘んじて受け止めます。それに私は、仮に聞き取れていたとしてもとりあえず食べてみっか!とお願いしていたでしょうから、結果は変わりません。
まとめ
散々な感想を書いてしまいましたが、今回コックニーの伝統料理を食べることができて大変満足しています。
そもそも、イギリス人からも「やめておけ」と言われた料理を自分から進んで食べにいったのです。どんな味であろうと文句などあるはずがありません。
ロンドンにしてはリーズナブルな価格で、店員さんもとても素敵な対応で、味以外はまさにパーフェクトです。
他の方のレビューを見ると、あまり味がしないだとか、思っていたほどではなかったという感想もありますし、単に私が生の青魚系が苦手なだけで、好みの問題かもしれません。テムズ側の塩漬けって感じだなと思うのは、私を含めた少数派だけかもしれないのです。
余談ですが、家に帰り店員のお姉さんがうなぎを入れてくれた容器を開けようとしましたが、本当に頑丈で開けるのに包丁を持ち出すことになりました。劇物なので中身が漏れないように配慮してくれてるのもポイントが高いです。
中を開けてみると、ゼリー部分とうなぎが完全に一体となっており、まるでフルーツがごろごろと入ったコンビニのゼリーのようになっていました。本当に綺麗に固まっていて、感動すら覚えました。これぞ煮凝り!
しかしゼリーの部分は固形の海水のようなものなので、うなぎの部分だけ発掘し骨を除き、他の材料と一緒に炒めて焼きそばを作りました。原型が残らぬほど炒めましたが、美味しく食べられました。やっぱり油で炒めるとなんでも美味しくなりますね。
みなさんもロンドンの下町の味を体験してみたくなったら、ぜひうなぎのゼリー寄せに挑戦してみてください。下処理の甘いサバとか好きなタイプの方は、気にいるかもしれません。