イギリスでスターゲイジーパイ食べるのはとっても大変

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 みなさんはスターゲイジーパイというものをご存知でしょうか。

 パイに魚が何匹かぶっ刺さったような強気な見た目のパイで、日本ではイギリスのメシマズ料理代表として知られています。

 日本にいたころは、フィッシュ&チップスやイングリッシュブレックファストと並ぶイギリスの有名料理だと思っていたのですが、ロンドンで職場のイギリス人に聞いても誰も知りませんでした。なんなら多分日本人の方が知っていると思います。

 どうやらマウゼル(mousehole)という村のマイナーな郷土料理なようです。mouseholeはどう見てもマウスホールですが、読み方はマウゼルです。結構な西の果ての漁村で、ロンドンからはおよそ450km離れています。

 しかも12月23日のトム・バウコック・イブ(Tom Bawcock’s Eve)にしか出ないようで、旅行でイギリスに来て食べるのは本当に難易度が高いです。

 トム・バウコック・イブは嵐にもかかわらず漁に出て魚をとり、村の飢饉を救った英雄トム・バウコックを讃えるお祭りらしく、パイからはみ出る魚たちの主張が激しいのも、魚を目立たせることで彼の勇気を讃えるためだそうです。ネタ料理だと思っていましたが、意外とちゃんとした理由がありました。

 今回は、西の果てまでスターゲイジーパイを求めて奔走する、私の反省と後悔の物語です。

2024年12月21日(土)

ロンドンからペンザンス

 マウゼルへ行くためには、まずはペンザンスという街に行かなければなりません。

 ロンドンからペンザンスへは、電車で行くと5時間ほどかかります。時期にもよりますが、私が探していたクリスマス前の電車だとけっこう高かったので、夜行バスに乗って行くことにしました。

 夜行バスって、時間を無駄にしない感じがして好きなんですよね。夜行列車もあるようですが、値段はだいぶ高いです。

 FlixBusの22時30分ロンドン発、7時05分ペンザンス着のバスで24.80ポンドです。電車だと時期や時間によりますが、だいたい30ポンドから100ポンドほどでした。

 いつもの如くヴィクトリア・コーチ・ステーションから長距離バスに乗りこみます。

 前に乗ったFlixBusは車内にトイレがついていたのでノンストップで走り続けましたが、今回は車内にトイレがないので、だいたい2時間おき位に休憩がありました。規模は小さいですが、サービスエリアのような感じです。

 トイレは汚く便座や水道の水は冷たく、売っている種類も多くはありません。トイレに行けるだけありがたいのですが、やはり日本のサービスエリアは素晴らしいなと思いました。

 バスの中でずっと寝ちゃおと思っていたのですが、2時、4時と休憩のたびに大音量のマイクでアナウンスされ電気もつくのでその度に起きてしまい、短時間の睡眠を何度かとる形になりました。

 7時過ぎにペンザンスのバスステーションに到着しましたが、日の出は8時なのでまだ真っ暗です。

2024年12月22日(日)

ペンザンスでの宿泊

 ペンザンスで1泊、マウゼルで2泊の旅ですが、ペンザンスでの宿はYHA ペンザンスです。女性専用の6人部屋ドミトリーで、料金は15ポンド(3000円くらい)です。地図で確認すると駅から30分くらい歩きますが、激安なのでここに決めました。

 街を30分くらい歩くなんて全く問題ないと思っていましたが、だんだん自然豊かな田舎道になっていってちょっと怖いです。野生動物とか出てきそうです。

 天気も悪く、雨、強風、真っ暗闇と三拍子そろって、もっと近いところにしておけばよかったと後悔し、時々水溜りに靴をうっかりつっこみながら歩いていきます。折りたたみ傘は強風で壊れました。

 暗闇の中、そこそこ水溜りを踏みながらようやく坂をのぼってホテルの明かりを目にした時は本当に安心しました。怪しくとも山姥の家に入ってしまった小僧の気持ちがわかります。

 まだ早朝なので、チェックインの時間まで荷物を預かってもらい、観光に出かけます。ホテルを出る頃にようやく日が昇りました。行きは闇しかなかったので不安でしたが、日が昇ってからみると自然豊かな普通の道だったりします。

 歩いていると鳥がたくさんいる公園があり、白鳥がいたのでつい見てしまいました。思ったよりでかい鳥だなという感想でしたが、羽毛はよくみると雪のように真っ白です。白って200色あるらしいですが、白鳥の白さと雪の白さは似ていました。美しいと古来より称されてきた理由もわかります。人に慣れているのか、近づいても逃げませんでした。

バスでの観光

 まず私が行くのはブリテン島の西の果て、ランズエンドと呼ばれるところです。バスで行くしかないのですが、まっすぐ向かわないので15kmしか離れていない割に1時間くらいかかります。その上12月の閑散期で日曜日ということもあり、1日に4便しか出ていないのでうっかりしていると詰みます。コーンウォール地方に来るのであれば、本当は車がベストです。

 私が乗ったのはLand’s End Coasterというバスで、バス停はペンザンス内にいくつかあるのですが、私は海岸沿いのLidlというバス停から乗りました。Lidlというスーパーマーケットの前にあるので、バス停の名前もLidlみたいです。わかりやすいですね。

 待っている間に海を見たりしていましたが、12月後半に海で泳いでいる人たちがいて驚愕しました。こっちはコートを2枚重ねて着ているというのにすごい胆力です。寒中水泳という文化は知っていますが、実際に自分が寒いなと感じているときに目の前で泳いでいる人を見るのは初めてで、なんなら少し感動さえしました。

 バスは数分遅れくらいで到着しました。あまり公共交通機関を信用していないので30分くらいまでは許容範囲だったのですが、思ったより早く来てくれてよかったです。

 料金は大人1枚2ポンドです。

 バスの料金システムをチラ見したところ、コーンウォール地方のエリア内であれば今のところは一律2ポンドで、7.50ポンドの1日チケットや、7日で30ポンドといったチケットもあるようです。

 私は2泊3日の旅ですし、バスの本数が少なすぎて元が取れる気がしなかったのでその都度買っていましたが、長期滞在したり夏のもう少しバスの本数が多い時に来る人は検討してみてもいいかもしれません。

Land’s End(地の果て)

 バスは結構揺れます。基本山の中や田舎道を進むので、時々牛や馬、羊なんかを見ることができました。セネン・コーブ(Sennen Cove)という海岸沿いのバス停の辺りからは海が見えて綺麗です。強風のため海が荒れていて、打ち寄せる波が圧巻でした。

 ランズエンドでバスを降りると、最初にあまりの風の強さに驚きました。傘を差せない程度ではなく、強風に押されてまっすぐ進めないくらいのレベルです。きついです。

 強風なために荒れた海は迫力があり見ていて楽しかったのですが、観光名所であるランズエンドサイン、地の果ての看板を見つけることができません。

 あれ?ネットの情報によるとここっぽいんだけどな?という場所には白い棒が立っているのみです。こいつは嫌な予感がします。

 白い棒の立っている場所の前にある、お土産屋さんに入って話を聞いてみることにしました。

 店員さんの話によると、やはり強風のために看板は仕舞われているのだそうです。お土産屋さんの中にある、写真を有料で撮ってくれるサービスも今はやっていないとのことです。

 まじか!ここまで来て!と思いましたが仕方がないので海を背景に写真だけ撮っておきました。しかし海側からの強烈な風に髪の毛が舞い上がり、風に乗ってやってきた海の水でカメラが曇り、あまりいい写真は撮れませんでしたね。顔がしょっぱいです。しまいには雨も降ってきました。

 夏の繁忙期には忙しく営業していそうな建物もいくつかありましたが、だいたい閉まっていました。ランズエンドに限らず、12月22日からクリスマス休暇が始まっているところが多かったです。

 開いていたのはお土産屋さん、カフェ、トイレの3つだけです。10時ごろに着いて早々に暇になりましたが、12時までバスが来ないので、カフェでホットチョコレート(3.45ポンド)を飲んで時間を潰しました。本当はクリームティー(紅茶とスコーンのセット)を頼みたかったのですが、スコーンは品切れだそうです。カフェが開いていただけでも僥倖です。

ミナック・シアター

 ペンザンス周辺でもう1つ私が行ってみたかったのは、ミナック・シアターという劇場です。海を目の前にした断崖絶壁にある野外劇場で、観光名所の1つです。

 チケットを購入すれば実際に劇を見ることができるのですが、残念ながら12月22日から26日までは休館日でした。

 劇は見られずとも外観くらいは見にいこうかなとも思ったのですが、どこまで入って見学することができるかもわかりませんし、次のバスは15時で、3時間以上も待たなければなりません。天気が良ければ1時間半ほど歩いて行ってもよかったのですが、強風と時々雨の降ってくる中でハイキングする気にもなれず、12時過ぎのバスでペンザンスに戻ることにしました。

 写真も撮れず劇も見られず、ランズエンドでお土産のショートブレッドだけ買って帰るので、何かを成し得たような気はしませんが、強風であるがゆえに迫力のある海を見ることができただけよかったとします。

ニューリン

 そのままペンザンスのホテルまで帰ってもよかったのですが、お腹が空いたのでペンザンス少し手前のニューリンという街で降りて、お昼ご飯を食べることにします。

 何かしらシーフードを食べたかったので、The Fisherman’s Armsというパブでフィッシュ&チップスを食べることにしました。ArgoeというシーフードレストランやThe Red Lion Innという近くのパブも考えたのですが、Argoeは17時30分まで開かず、もう片方のパブは日曜日でサンデーローストしか注文できないようだったので、The Fisherman’s Armsにしました。

 フィッシュ&チップスが18.50ポンド、コーラのハーフパイントが2.50ポンドで、併せて21ポンドです。パイントというのはビールジョッキ1杯分の単位なのですが、イギリスは1パイント=568mlで、アメリカだと473mlです。難しいです。勘弁してほしいです。

 ヨーロッパでは飲み物を頼む時によくSmall or Large?と聞かれるのですが、経験上、小は2分の1パイント、大は1パイントなことがほとんどでした。

 海沿いの街のフィッシュ&チップスは美味しいと経験上知っているので頼みましたが、ここのものは少しだけ身が水っぽいなと思いました。とはいえロンドン市内で出てくるものとは違い、身はきちんと厚いですし、味付けも塩気があって美味しかったです。

 バスは頻繁に来ないですし、ニューリンからペンザンスまで歩いても30分くらいなので、海沿いを散歩がてら歩いて帰ることにしました。

 リドルで買い物をしてからホテルに戻り、夜行バスで眠りが浅かったこともあって20時くらいにはベッドで寝落ちしてしまいました。6人部屋でしたが、私以外にもう1人しか泊まっていないようで、なかなか快適でした。立地以外は素晴らしかったです。

2024年12月23日(月)

ペンザンスからマウゼル

 早寝だったので朝4時には目覚めましたが、結局ベッドでごろごろしてしまってホテルを出たのはチェックアウトギリギリの10時ごろです。

 今日はいよいよマウゼルに向かいます。ペンザンスから5kmくらいなので1時間くらい歩いても着きますが、疲れるのでバスで行きます。近いですが、料金はランズエンドと変わらず2ポンドです。

 ただペンザンス内1日パスにマウゼルも含まれるらしく、4ポンドでパスを買えば、1日中ペンザンス内+マウゼルまで自由に乗り降りすることができると、後々バスの運転手の方に教えてもらいました。

 私が乗ったのはthe Mouseholeというバスで、マイクロバスだったので最初どこかのツアーのバスなのかと思いました。あとちょっと面白いくらい揺れました。

 20分くらいでマウゼルに到着です。漁村って感じでテンションが上がります。

 私が泊まるThe Ship Innというホテルはバス停から近く、徒歩1分くらいでいいなと思いましたが、歩いているうちに気づきましたがマウゼルは本当に小さいので大体の場所が徒歩5分以内です。

 まだ11時前でしたが、15時のチェックイン前に荷物を預かってもらいにホテルに行きます。The Ship Innはパブとレストランもやっているので入り口が、宿泊施設、パブ、レストラン(ホテルの受付)の3つあります。中で繋がっているのですが、早い時間だと受付のドアしか開いていないのでそこから入りましょう。

スターゲイジーパイ

スターゲイジーパイを逃した経緯

 最初にお伝えしておきますが、スターゲイジーパイは食べたっちゃ食べたのですが、私が望んでいたものを食べることはできませんでした。長くなるのでスターゲイジーパイの情報だけ知りたい方は、経緯は飛ばしてください。

 11時前に荷物を預けた時、パブは11時に開く言われたので、11時過ぎにまた戻ってきましたが開いておらず、同じ人に聞いてみると遅れているのだといいます。

 スターゲイジーパイについて聞いてみると、ドネーション(寄付)をして切り分けたパイをもらうのだと教えてくれました。さらに時間について聞いてみますが、具体的な時間は決まっていないのか分からないのか、明確な回答は得られませんでした。とりあえず夜なんですね?と聞くとそうだというので、チェックインの時間である15時までは適当に時間を潰すことにしました。

 15時にチェックインのために戻ると、パブは大混雑です。昼に荷物を預かってくれた女性が部屋まで案内してくれたので、再度スターゲイジーパイの時間について聞くと、夜中中食べられる、ディナーを予約したいか、と聞かれます。予約できるんだ…宿泊者の特権かな?と驚きつつ、パイとプラスでディナーまで食べられるかな?と迷っていると、とりあえずキッチンに言っておくねと言って戻っていきました。

 あれ予約になったのかな?まあ一晩中食べられるならいいかと思いつつ、17時からのライトアップを見てからレストランに行くと、スターゲイジーパイはもう無いと言われました。

 突然パニックです。どういうことか詳しく聞くと、12時と16時にスターゲイジーパイが提供されて皆列に並んで受け取ったのですが、とても人気だったのですぐになくなってしまったということです。

  聞いてた話と違う!と思いましたが、どうやらスペシャルスターゲイジーパイという、魚が刺さっていないタイプの普通のパイをレストランで注文することができ、それはいつでも食べられるようです。

 君の名前で予約があるけど、食べていく?と聞かれてショックを受けながらも「食べます…」とお願いしました。

 見た目が普通のパイで、しかも味が美味しいのが逆にショックです。魚の臭みはなく、普通にミートパイの魚バージョンといった味付けで魚の旨みもあり美味しいです。付け合わせのケールの塩気も、人参の甘みも良かったです。

 パイは19ポンド(4000円くらい)で、食べきれなかったので用意してもらったボックスに入れて部屋に持ち帰って食べました。

 スターゲイジーパイを食べたといえば食べたのですが、私が思っていたものでなく、このパイのためだけに6ヶ月前からホテルの予約をして家から500km近く離れたこの地に来たので、正直しばらく落ち込みました。

 12時と16時であれば無意味に近辺を歩き回って時間を潰したり、部屋でごろごろしながらTVでやっていたソニックの映画を眺めていたころです。

 11時と15時にスターゲイジーパイについてたまたま尋ねた時に、どうして「1時間後に配られ始めるよ」と教えてくれなかったのかと、不思議でなりませんでした。しかしその場に案内してくれた件の女性はおらず、レストランのスタッフの方々は親切で何も悪いところはなく、気持ちの持って行き場がありません。

 翌朝その女性がチェックアウトの際にいたので聞いてみると、彼女的にはレストランで注文できるのもスターゲイジーパイだから何も問題はないと思っていたようです。

 たしかに私はパイの形に言及はせず、スターゲイジーパイとしか言っていません。誤解があったようだとちゃんと謝ってくれましたし、レストランで食べたものも、全く同じスターゲイジーパイだよと慰めてはくれました。

 最初は、寄付のみで食べられるものより19ポンドで注文させた方が利益が出るからあえて時間を伝えなかったのかと疑ってしまっていたのですが、ただただ誤解があっただけで悪い人ではないように思えます。

 たしかに毎年スターゲイジーパイを見ている立場としては、魚のパイが食べたいと言っているだけで形に固執している人がいるとは夢にも思わなかったのかもしれません。私は「スターゲイジーパイのためだけに来た」と言っているので普通、伝統的な形のパイのことであるとわかるだろうと思ってしまいましたが、自分が思っていることが相手も同じように思っていると考えてはいけないなと、いい教訓になりました。とはいえ引きずります。ショックです。

マウゼルでスターゲイジーパイを食べるためには

 今回行ってみて初めて分かったスターゲイジーパイの情報をまとめると、

  • The Ship Innというパブで寄付をすると提供されるが、人気なのですぐになくなってしまう
  • 2024年は12時と16時からの2回の提供だったが、時間は事前に確認した方が良い
  • スペシャルスターゲイジーパイという名前の、見た目は普通の魚のパイをShip Innのレストランで注文できるが予約はした方が良い

 もしどうしても伝統的な見た目のスターゲイジーパイを食べたいと思ってマウゼルに行くことがあれば、この辺りに注意してください。ちゃんと時間が決まっておらず、準備の進捗によって前後しそうな雰囲気だったので、店で時間を潰しながら待っていたほうが確実かもしれません。

 私はその状況を見ることができなかったのでわかりませんが、スターゲイジーパイの提供のために大勢の人が列をなして並び、すぐになくなったと言いますし、実際に完成したパイを切る前に見ることができるのかも定かではありません。

「どうしても伝統的な魚がとびだしたパイを見たいんです!写真撮らせてください!」と先に言っておくのが安心かなと思います。

 今後はわかりませんが、基本チャンスは2回なようなので、もし行くのであれば私のようにせっかくのチャンスを逃さないように気をつけてください。

ジャムファースト

 ここからはスターゲイジーパイの話はやめてマウゼルでの観光の話の戻ります。荷物を預けた後、あThe Ship Innのパブが開かないので、近くの2 Fore Street Restaurantというレストランにいきました。

 漁村なのでシーフードを食べたいと思ったのですが、だいたいの店は朝食メニュー以外12時からしかやっていないらしく、仕方なく魚介は諦めてクリームティーを頼むことにしました。

 クリームティーとは紅茶とスコーンのセットで、スコーンにはジャムやクロテッドクリームをつけて食べるのが一般的です。実はこのコーンウォール地方で、クリームティーも食べたいと思っていました。

 なぜかというと、コーンウォール地方とデボン地方は、クリームティーの流儀について古来より終わらぬ戦いを繰り広げてきたことで有名だからです。

 これはお土産屋さんで見つけたものですが、この看板から分かる通りコーンウォールでは、スコーンにジャムを最初に塗ります。反対に、デボンはクリームを先に塗るのです。

 きのこたけのこ戦争のようなもので一種のジョークだとは思いますが、過去にこの件について炎上したこともあるそうです。

 せっかくコーンウォールに来たので、クリームティーを頼んでコーンウォール式で食べてみることにします。ちなみに7.70ポンドです。

 思ったよりもボリュームがありました。紅茶もスコーンも美味しくはあったのですが、スコーンがいかんせん食べ辛いです。触るたびにぼろぼろとこぼれ落ちてきます。ジャムやクリームをつけた衝撃で崩壊しますし手がめちゃくちゃ汚れます。

 クリームがけっこうしっかりと固形なので、個人的には安定したクリームを先に塗る方が食べやすくはあったのですが、異教徒とならないためにも我慢してジャムから塗って完食しました。満足です。

 もう少し時間を潰したかったのですが、なぜか店内は全くスマホの電波が入らなかったので、食べ終わったらすぐ店を後にしました。これは他のマウゼルの飲食店でもそうだったので、客にあまり長居をさせないためなのかなと邪推してしまいました。単純に建物の中だからかもしれませんが。

コーニッシュ・パスティ

 コーンウォールに着いてから、色々な場所でCornish Pastyという言葉を目にします。事前にちゃんと旅行先について調べてこなかったので知りませんでしたが、コーンウォールの伝統的なパイ料理で、名物らしいです。マウゼルのパン屋さんでも売っていたので、入ってみることにしました。

 中ではアイスクリームなども売られていましたが、ちょっと寒すぎるのでコーニッシュ・パスティと、一口サイズのミンスパイを買いました。コーニッシュ・パスティは4.40ポンド、一口ミンスパイは1ポンドです。

マウゼル

 マウゼルは行ってみると、思ったよりも小さかったです。ペンザンスは港町でマウゼルは漁村という感じです。チェックインまで一生懸命時間を潰そうとしましたが、1時間もあれば何もすることがなくなって大変です。

 夏はもう少し見るところがあるかもしれませんが、海を眺めるかレストランかお土産屋さんか雑貨屋さんしかありません。もっとマイナーなところも探せばあるかもしれませんが、少なくとも観光客向けはそのくらいです。

 お土産屋さんは13時30分からしか開かなかったので昼過ぎに買い物をしました。寄付用の現金を崩そうと思ったのですが、支払いはカードのみだったので注意です。

 本当に暇すぎて、意味もなく雨の中周辺の道を散歩してきましたが、坂が多いですし綺麗な景色を見ながらという感じでもなかったので、あまりおすすめはしません。

 他の観光名所を見に行くバスの本数も少ないですし、のんびりする目的であればいいですが、昼過ぎに来て夜に帰るくらいの数時間の滞在で充分だなと感じました。

The Ship Inn

 私が泊まったShip Innというホテルは、1泊76.50ポンド(15,000円くらい)でした。スターゲイジーパイが提供されるパブとレストランと同じ建物なので便利です。私はお腹が空いていなかったので食べませんでしたが、朝食も付いています。

 私が泊まったのはシングルルームで、道に面していたのでカーテンを閉めないと大勢の通行人たちから丸見えです。さすがに12月23日はイベントがあるので多少がやがやとうるさかったですが、カーテンをめくれば港のライトアップがすぐに見られるのは長所だと思います。

 タオルの他にバスローブやドライヤー、ケトルとコーヒー紅茶にホットチョコレートの粉まであって、サービスが行き届いていました。

港のライトアップ

 16時からライトアップが始まるとインターネットで見たのですが、実際は17時からでした。ホテルの人が17時からだと教えてくれたので17時少し前に外に出ましたが、その情報がなければ16時には部屋から出ていたのでスターゲイジーパイが食べられたのでは…?とも思ってしまいちょっと後悔です。

 たくさんの人が港の周りに集まっていたので、時間になったらショーのようなものがはじまるのかな?と思っていましたが、普通にライトがついて終わりだったので、17時ぴったりに行く必要は全く無いです。夜中ずっと点いているわけではありませんが、いつ行っても特に変わらないです。

 昼間はここ水があったよな?と思ったところも、夜になると海の水が引いて歩けるようになっていて楽しかったです。スターゲイジーパイのライトもありました。

 私は早々に部屋に戻りましたが、22時くらいまでは外に人が多くいたと思います。

12月24日(火)

再びLand’s End

 朝から16時過ぎの電車までだいぶ暇なので、一昨日に強風すぎて写真を撮れなかったランズエンドにもう1度行ってみることにしました。暇なので近くのLand’s End Coasterのバス停まで30分くらい歩きました。

 クリスマスイブである今日がバンクホリデー扱いだとすると、めちゃくちゃバスを待つになることになるなと多少恐怖していたのですが、平日扱いのようで良かったです。

 10時くらいにランズエンドに着いて看板を確認しに行くと、ちゃんとありました!と思いましたが、なんかちょっと思ってた感じと違いました。

 看板は石の台座の上にあるものでは?というかデザイン違くない?待ってこれパーツの一部じゃない?と気づいてしまいましたが、まあ看板は看板なのでよしとします。理想は下の写真のような感じです。

 深い霧の中、写真を撮って満足しましたが、バスが来るまでまた2時間ほど暇です。一昨日はお土産やさんとカフェも開いていましたが、クリスマスイブだからか閉まっています。唯一トイレが開いていたのは大変ありがたかったです。完全に無人ではないようですね。

 仕方ないので暇つぶしに海沿いの道を歩いて、セネン・コーブ(Sennen Cove)のバス停まで行くことにしました。霧深くて見通しは悪かったですが、自然豊かでなかなか楽しかったです。

 Googleマップによると徒歩30分程らしかったのですが、坂道が多く、途中で写真も撮ったこともあり1時間ほどかかりました。途中で海とか鳥とか馬とかいたら見ちゃいますよね。

 道はそんなに歩きにくいものではありませんでしたが、調子に乗って崖に近づきすぎると落ちてもおかしくないくらいの安全度なので、散歩をする際は歩きやすい靴がおすすめです。

セネン・コーブ(Sennen Cove)のビーチ

 セネン・コーブまで行くと、そこそこ人がいて安心しました。広いビーチで、夏は人で賑わっていそうだなと思いました。

 砂浜を歩きながら海を眺めていると、アザラシのような海洋生物が死んでいることに気づいてめちゃくちゃびっくりしました。首には『病気のリスクがあります、触らないでください』と書いてあるプレートがかけられていたので、すでに発見済みで新たに回収する人たちが来るのだと思います。

 犬を遊ばせている人やビーチを歩く人、寒中水泳にサーフィンをしている人とたくさんいましたが、特に誰も騒いでいなかったのでひょっとするとよくあることなのかもしれません。

 しばらくしてから来たバスに乗って、ペンザンスに戻りました。

聖ミカエルの山

 ペンザンスに着いたのは13時ごろでしたが、まだ電車の時間まで3時間以上あるので、聖ミカエルの山という観光名所に行くことにします。

 ペンザンスから聖ミカエルの山までは1時間ちょっと歩くか、バスで行きます。片道2ポンドか、ペンザンス内1日乗り放題のチケットが4ポンドです。U4のバスに乗ってPlaygroundというバス停で降りました。

 ちなみにこの1日パスはマウゼルまで行くのにも使えるらしいので、時間があったらマウゼルと聖ミカエルの山、両方同じ日に行っちゃうのがおすすめです。

 英語ではセント・マイケルズ・マウントと呼ばれるこの山はイギリスのモンサンミッシェルと言われていて、干潮の時は歩いて渡ることができますが、満潮の時はボートで行くしかありません。

 ボートは 3月29日から10月31日までで冬季は運行していないらしく、干潮の時間も朝か夜だったので、私は遠くから眺めるだけにしておきました。 

 階段を上って岩の上に立つくらいはできました。

クリスマスランチ

 お腹が空いたのと暇なので、ビーチの前のThe Godolphinというレストランでランチにします。下のテラスでイギリスのモンサンミッシェルを眺めながら飲み物を飲んでいた人たちもいましたが、食べ物もあるか店員さんに聞いてみると、2階がレストランになっていると教えてくれました。

 レストランは結構混んでいましたが、予約なしで席につけてよかったです。正直ハンバーガーとか食べたい気分でしたが、せっかくのクリスマスイブですし、クリスマスメニューを頼むことにしました。

 ローストターキーとクリスマスプディングにします。

 なぜかプディングが先に来たので、デザートから先に食べました。せっかく温かい状態だったので冷める前に食べたかったのです。洋酒の味はちょっと得意じゃなかったのですが、レーズンが美味しかったので食べられました。なんか最初のころよりイギリス料理の味が好きになってきている気がします。

 ターキーのプレートには、薄切りのターキー、ほくほくのポテト、甘いにんじん、酸味のある赤キャベツ、ソーセージにベーコンを巻いた肉、謎のミートボールなど色々と乗っていました。

 グレイビーソースっぽい味付けで、しそのような味のする赤キャベツがアクセントとなって美味しかったと思います。1番好きだったのは、ソーセージにベーコンを巻いたちょっと頭の悪そうなおかずでしたが。豪華ですよね。全子供達の夢って感じです。

 料金はターキーのプレートが24ポンド、クリスマスプディングが9ポンド、サービスチャージが4.13ポンドで合計37.13ポンド(7000円くらい)でした。ランチにしてはちょっとお高めですが、ボリュームがありましたしクリスマスイブなのでよしとしましょう。

ペンザンスからロンドン

 バスでペンザンスまで戻ってきましたが、意外とバスの本数が少なかったので注意です。ペンザンス駅の待合室でしばらく待ってから電車に乗ります。

 私がTrainPalで買ったチケットは、16時15分ペンザンス発、21時24分パディントン着46.25ポンドでした。1万円くらいです。QRコードではなく紙のチケットなため、駅の発券機で印刷しました。

 改札がないので、駅員さんに切符を見せてホームに入り、電車に乗ります。一応席は決まっていましたが、がらがらでしたし多分みんなそんなに席守ってなさそうでした。

 だいたい寝てましたが、21時35分ごろロンドンのパディントン駅に到着しました。

 いつもであれば22時前は余裕な時間なのですが、今日はクリスマスイブ、電車もバスも24時前までには確実になくなります。去年は仕事帰りに22時のバスで帰ることができた記憶があるのですが、今年も同じとは限りません。ロンドンの公共交通機関を信用しすぎず、電車がなくなる前に急いで家に帰らなければならないのです。

 最悪取り残されたらレンタル自転車で帰ろうと思っていましたが、無事23時前には自宅の最寄り駅に着くことができました。

まとめ

 今回の旅の目的であるスターゲイジーパイは、結局見ることも食べることもできなかったので大変ショックでしたが、この失敗は最近海外旅行に慣れてきてしまっていた私に『自分の常識を信じすぎないでしつこいくらいに確認して文書でも残さなければならない』という、初心を私に思い出させてくれました。

 とても悔しかったですし、私はヘタリアのイギリスさん推しなので死ぬ前にはもう1度スターゲイジーパイを拝むために戻ってくることになると思いますが、その際は

  • バスの本数が少ない
  • 干潮、満潮の時間
  • スターゲイジーパイの時間の確認
  • マウゼルに午前中にいてもやることがない
  • マウゼルに宿泊せずともペンザンスで充分だしそっちの方が安い
  • ライトアップはショーではないのであまり時間を気にする必要はない
  • マウゼルのお土産屋さんでの支払いは現金のみ

 ということに注意したいと思います。私が行った時期のせいではありますが、あまり見るものやることも多くなかったので、次回は早朝について夜に帰る日帰り旅行にすると思います。

 もし本場のスターゲイジーパイを食べたいと思っている方がいたら、参考にしてみてください。スターゲイジーパイ関係なくコーンウォール地方に行ってみたいのであれば、夏の方がおすすめです。

 

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